私は今までずっと味のしない世界を生きてきた。胸が圧迫されるような息苦しい毎日を過ごしてきた。私はこれから先、何を期待して何に希望をもって生きていけばいいのか分からなくなっていた。どこを見て、どの方向に進んでいけばいいのかを見失っていた。私はずっと、ずっと孤独を味わいながら生きてきたのであった。
私は誰かに助けてもらいたかった。苦しみから解放されたかった。だけど、痛みや苦しみを誰にも打ち明けられずにいた。その現実が何よりも苦しかった。何年もの間、この苦しみや痛みから解放させてもらえなかった。この世の中には、孤独に苦しんでいる人がどれだけいるのだろうか?
私はこれまでに障害児を育ててこられた親御さんと接する機会をいただいた。私と同じように、いや、私以上に孤独に苦しんでおられる親御さんに出会った。話を聴かせてもらうと、どの親御さんも想像を絶する苦しみを経験されていた。
私は来る日も来る日も親御さんの元に会いに行き、話を聴かせてもらった。そして、ある日に胸の圧迫感や息苦しさがいつの間にか消えてなくなっていたことに気づいたのだった。そして、ようやく私は分かったのだった。人間とは、多くの人に囲まれながら生きることで安心感を得ているのではなく、たった一人の人でいいから本音を分かち合える仲間が自分の傍に寄り添って居てくれることを実感できた時にのみ安心感を得られることを。人間の本心とは、誰かに寄り添ってもらいたいと願ってやまないことを。
私は親御さんを助ける身でありながら、反対に親御さんが私を苦しみから救ってくれたのだった。だから、親御さんは私にとって命の恩人である。
私はこれまで出会ったみなさんに感謝したい。
いつも、あなたたちが、私を救ってくれたから。
これから先、出会う皆さんにも感謝したい。
きっと、あなたたちが、私を救ってくれるから。
私の人生を皆さんに捧げたい。
私があなたを信じ抜くことで。
私は名もない理学療法士だ。
あなたを信じることしかできない不器用者だ。
一人では生きていけない弱い生き物だ。
そんな私でよければ、頼ってほしい。
令和5年6月8日
理学療法士 大山直樹
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